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負けヒロインを ──それでも愛そう⋯

※この記事は「アオのハコ」に関する重大なネタバレを含みます。ご注意ください。

読んだことない人はぜひ読んでほしいです…。

 

 

五億年ぶりにブログを書くことにしました。というのも、この感情を自分のなかに留めておくことに苦しさを感じたからです。誰に見られるとかは関係なく、ただ今の感情をここに書いておくことが、自分の気持ちの整理になることを願っています。

 

アオのハコを最新話(現時点で139話)まで読みました。どの登場人物も好きですが、なかでも特に好きなのは蝶野雛、次に守屋菖蒲です。この記事は蝶野雛への感情を、ただ書き連ねるようなものになります。ご承知おきください。

 

蝶野雛の主なエピソードは、告白編(~#43)、振られ編(~#76)、吹っ切れ編(~#113)の三つになると思います。この記事では後ろ二つについて書きたいと思います。

 

 

#44 雛「今すぐ返事はいらないし」

と言っているが、これは現時点でこの告白が成功しえないことを理解したうえでの、負けないための選択で、勝つための選択じゃない。勝ちに行く、勝つ自信があるなら今すぐ返事をくれと、そう促すこともできるんだ。だけど、あくまで保留にさせるというのが雛のいじらしさなんだ。今の成功率は0%でも、いつか、それが100%になるまで、雛は待ち続けるという覚悟なんだ。この保留に、一縷の望みをかけ、大逆転の可能性を夢見るんだ。

 

#74 雛「大喜が私を好きになってくれるまで返事はいらないの」

#75 雛(明日か来週か来月か 私はいつまでも待つから)

雛としては

返事をされない=大喜が雛のことを”まだ”好きになっていない→失敗していない

好ましい返事をされる=大喜が雛のことを好きになった→成功した

好ましくない返事をされるがそれを拒否する=大喜が雛のことを好きになるまで待ち続ける→失敗を拒否する、成功まで待つ

という失敗率0%、成功率100%の告白をしたつもりでいて、返事を保留にして、待ち続ける。負けないためにひたすら耐えて耐えて耐え忍ぶ、その決意がある。

 

#76,77 大喜「雛とは付き合えない」「俺の好きな人は変わらない」

ケジメをつけるのは大事だが、それが時には残酷で、でも、どこかで必ず向き合わないといけなくて、そのモラトリアムを、期待を胸に過ごしていた雛は、あまりにも、あまりにも醜いのかもしれない。大喜の返事に対し、雛は、いつまでも待つんだと主張する、返事を拒否するが、それでも大喜は食い下がらない。雛は好ましくない返事をされても、それを拒否することで、失敗させないつもりだったのに、それ以上に意志の強い大喜の言葉で、その場から逃げる。

 

#80 菖蒲「どうせまた余計なことしてって思ってるんでしょ」

菖蒲のせいかもしれないし、菖蒲のおかげかもしれないし、もちろんあの日、雛は絶対に傷ついたんだけど、それでも、あれは必要な傷だったのかもしれない、雛が、大喜が、前に進むために

菖蒲は余計なことをしたのかもしれない、それでも、雛の恋を応援していた、雛の味方になってくれる存在がいて、罪悪感による贖罪なのかもしれないが、雛のフォローをしてくれて、それは間違いなく雛の心の支えになるんじゃないかって、雛は1人じゃないんだって思えるような場所になるんじゃないかって、少なくともそのことにはかけがえのない価値があったんだと思う。

 

#109,112 雛「もうふっきれたよ」「もう完全に諦めないとな」

雛は振られてからも、わずかな望みを持って、過ごしていたんだ、どれだけ微かな希望でも、好きだから、それを信じて、前に進んでいた。

けど、それももう終わり。大喜と千夏が付き合い始めたことを知って、完全にあきらめる、そんな決心をしたくて、でもできなくて…。

 

#112  雛「菖蒲ちゃんっ 私に男の子紹介してっ!」

          菖蒲「ひなっちがドキドキときめくような相手と恋しないと」

          匡「新しい人を好きになる整理出来たんだ?」雛「うん」

雛は、大喜を完全に諦める、そのために行動する。それが分かりやすく新しい出会いを求めるってことなだけで、なんの問題もない。新しい恋へ踏み出すために、まずは行動する、周りにそう主張することで、自分の気持ちに蓋をして、前に進めるきっかけを探しているんだ。

 

#113 雛「初彼女おめでとう!」

匡くんは、大喜と、雛の共通の友人として、二人を近くで見てきたからこそ、雛の話し相手としては十分すぎるほど適任で、

「もう関わらない方が楽だったりするのかな?」そう笑う雛の笑顔は少し寂しそうで、

「サキが幸せそうだったから 十何年の付き合いでも見たことない顔してて そんな顔してるんなら自分の気持ちなんてどうでもよくなった」

「恋愛に支配される人間関係は少し寂しく思う」

匡くんは、とても大人で、ある意味では雛の一歩、二歩先を行く先人で、そんな匡くんの話を聞いたからこそ、雛は大喜との関係にいよいよ踏ん切りをつけて、次へ進むことができるんじゃないかと思う。恋愛に支配されない、友達としての関係に

 

そして最終ページの雛の笑顔はこれ以上ないほど美しい

 

 

最後に

これから先、雛にどんな出会いがあるのか、どんな恋をするのか分からないが、雛の顔が少しでも曇ったら、俺はその度に心の中で必死に応援するんだ、俺はお前の味方だぞ!って必死に叫ぶんだ。

 

蝶野雛に幸あれ